貴様!ただの牛ではないな!?

ATXのゴッドマーズが終了。当時、これとXボンバーは知らない間に観なくなったのを不思議に思ってたのが後年、どちらも藤川桂介がメインライターと知って得心した番組で、あれから40年経って嫁はんと晩飯喰いながら全部観るとは思わなかったけど、藤川はもとより毎回ウルトラマンをパクってる田口成光と、唯一の救いだった城山昇も流石に終盤はグダグダになって思ってたひゃくまんばい酷いアニメに仕上がっていた。なんたって男も女もその時の感情だけでヒステリックに動くキャラクターと無造作に盛り込まれる観念論は藤川桂介の真骨頂(就中一目惚れしたガッシュの墓標の前で拳銃自殺しようとするミカが白眉)で、全編ハナシに整合性も何もあったものではない。とりあえず徹頭徹尾、女性ファンをだまくらかすことしか考えてないアニメであることは分かったが、ついでに40年も考える時間がありながらいまだにゴッドマーズが面白い人と思う人はきっぱり病院行った方がいい。作画の方は本橋先生の絵はいま見ても全然文句ないのはサスガだけど、Bパートに顕著だった金田かぶれの原画陣のそれはもうギャグ以外のなにものでもない。とりあえずロゼにまったく未練がなくなってさっぱりしたのとマーグのキャラが案外良かったのが全64話の数少ない収穫ではあった。あと番組の骨子だったはずが途中からまったく語られなくなったガイヤーの反陽子爆弾がどうなったのか、知ってる人は教えてくれたまえ是非。

 

 

この宇宙警備隊隊長ゾフィーを倒せるものなら倒してみろ!

逢坂冬馬「同志少女よ、敵を撃て」読了。本屋で現物見るまで存在を知らんかった一冊。表紙を裏切らず萌え要素満載のうえ始終マンガみたいな展開で実に読みやすかった。しかしその終章、ナンバーワン萌えキャラのママが戦死しなかったのは良かったけど、後日談とヒロインに「戦争は女の顔をしていない」のインタビューの打診がきてリアルとリンクするのは流石に蛇足だったのではないか。

ちなみにこの本を電車で読むのにA5サイズのブックカバーを買って、これでようやく(なぜか文庫にならない)サルトルの嘔吐が読めると喜んでいる。

シンウルトラマンは観てないし観たいとも思わないが(ドクター・フー調)、知人から登場するゾフィがワルモンと聞いて流石に唖然とする。確か庵野は内山センセのさよならウルトラ兄弟をアニメ化してる筈が、一体どういう了見なのか?まさかゼットンを操るスーパーガンに弱い宇宙人のつもりなのか?

映画を見るならフランス映画(by甲斐バンド)

今日は「青春残酷物語」と「昆虫大戦争」の川津祐介2連発と、「男と女のいる舗道」とテレスドン好きなら必須の「アルファヴィル」のゴダール2連発。ついでに「戦争を知らない子供たち」の挫折してた映画ばかりのラインナップでアタマヘロヘロになったというハナシ。

 

ギララコンビなら当然の掛け値なしの愚作「昆虫大戦争」は論外として、馴染みのない大島渚の「青春残酷物語」も評判倒れの大概な出来。昨日の「徳川女刑罰史」から一転、カッコいい渡辺文雄とラストの急展開がちょっとよかったくらい。その点、元祖ヌーベルバーグのゴダールはハナシはアレでもおフランスを舞台にした超カッコいい画面とアンナ・カリーナ(男と女のときのマリゲラが最高)だけでなんとか観れるのがいい。そんで「戦争を知らない子供たち」も脚本に大和屋竺が入ってる時点でこれまたナニな映画。さらに今日5本目と言うこともあって地獄耳平こと三上左京の旅芸人と、岡田裕介が2カットだけカメオ出演してたことくらいしか覚えてない。メッセージ性があるからってなんでもかんでも誉めりゃいいってもんじゃないぜ?

 

かく語りき

親も兄弟も故郷もない身にはお盆なんか全然まったく関係ないけど、今年前半戦の仕事がひと段落したんで休むことにしたらみんなに年中無休と思ってたと言われてなんでやねんと。

そしてその初日に映画でも観るかとハードディスクに残ってた「武闘拳・猛虎激殺!」と「いちご白書」と「徳川女刑罰史」を続けて観たら死にそうになったというハナシ。

死亡遊戯のバッタもんで、倉田先生より虎のシーザーのが扱いがいい気がする猛虎激殺は、圧倒的にハズレの多い山口和彦の映画ではかなりマシな印象。しかしいっぽんの映画に2回も「今頃サメに喰われているだろうゼ!」みたいなセリフが出るデタラメさはサスガ東映。主題歌サークル・ゲームとバンバンの歌で有名な「いちご白書」は期待のマイナスひゃくまんばいくらいさっぱりで、似たような学生運動ものでも「YOU…」とか「if…もしも」のが間違いなく面白かったけど、なんでこんなに下馬評が高いのか謎。あえて監督つながりで「スパイ大作戦みたいだ!」のセリフだけ面白かった。そして小学校の遠足で東映太秦映画村のスチル写真に恐怖して以来、自ら禁忌としていた「徳川女刑罰史」が実は傑作だったことを知る45年目の夏。吉田輝雄が回想するオムニバスの3本どれも凄かったけど、就中、小池朝雄の刺青師のエピソードが白人の皆さんのまさに身体を張った熱演もあって圧巻。サスガ石井輝男。アマゾンキラーとおんなじ演技の賀川雪絵も最高(こればっかし)。

 

アンドロメダ…

嫁はんとお好み焼きを食べるついでに必ず寄ってる天神橋筋商店街の西日本書店で買った「掃除婦のための手引書」を読み始めると、表題作にピードモントが出てきてびっくりしたというハナシ。

 

先月末の〆切に間にあったベアゲルターの色紙プレゼント。まあくじ運の悪さは自信があるんで鼻から当たる気はないけど、この齢になって唯一読んでる新作マンガのベアゲルターにずらり揃った気品とエロ併せ持つ沙村美人の尊さだけは先生にお伝えせねばならん。ならんのだ。

プロフェッショナル魂

ふたたび嵐が来て去ったら7月が終わろうとしていた。ふたつのイベント設営から始まって、その最終週はどう考えても2週間かかる店舗什器を現場こなしながら1週間で作り上げるとか、もはや木工と呼ぶより曲芸に近かったけど仕事は好きなんでまったく問題ない。

カポーティ「冷血」読了。カポーティの人生が狂うほどの傑作だけあって非常に面白かった。流石どこの本屋でも売ってるだけのことはある。いささか分厚いけどキミも読め。

あらゆる人生は意義あるほど未完成のまま終わる

嵐のように毎日が過ぎて気がついたら7月も中旬、仕事と通勤電車の読書以外に何もしてない気がするが(ちなみに本が読めるので電車で通勤している)、仕事は好きなんで問題ない。キース・トーマス「ダリア・ミッチェル博士の発見と異変」表紙につられて買ったけど、最近のエスエフにしては読後感が良かった。選ばれるものに適性があるのはそらそうだ。藤澤清造根津権現裏」と「藤澤清造短篇集」どちらも陰鬱な本編より西村賢太のあとがきのが読み応えあった。開高健「渚から来るもの」「食卓は笑う」「白いページ」いずれ問題なく面白かった。年配の人に開高健の話をふってみると人種を選ばず大概みんな知ってるのは流石。小松左京エスパイ」とにかく挿絵もハナシもアナクロすぎる。映画のがひゃくまいばいモダンでいい。ブルガーコフ「悪魔物語・運命の卵」怪光線を照射された卵からびっくり巨大生物が誕生する、かのゴーリキィが絶賛したらしい怪奇譚。ほんまか?ちなみにこの本、初めて訪ねた梅田のジュンク堂で買ったけど、ふだん古本屋でしか見ないような岩波のラインナップがズラリと揃っててビックリした。そのあとわざわざ来店のお礼メールが来て二度ビックリ。鈴木道彦「プルーストを読む」とても気になるけど絶対読みたくない「失われた時を求めて」の訳者によるプルースト愛に溢れた解説本。うっかり失われた~を読みそうになるほど知的で意義のある一冊。友人の借り物だけど自分でも一冊買っておこう。カポーティ「叶えられた祈り」奇しくも現代版「失われた時を求めて」のふれこみの一冊。タレント業に精を出し過ぎて作家生命の尽きかけたカポーティのとりとめない筆致にうんざりしながら読み進んでいくと、ガルビオンの最終回みたくいきなり終わってどないやねんと。この消化不良を解消すべく同じくカポーティの(なぜかどこの本屋でも売ってる)「冷血」を読書中。あとほかにもなんか読んだけど忘れたのはその程度の本と言うことで。