あらゆる人生は意義あるほど未完成のまま終わる

嵐のように毎日が過ぎて気がついたら7月も中旬、仕事と通勤電車の読書以外に何もしてない気がするが(ちなみに本が読めるので電車で通勤している)、仕事は好きなんで問題ない。キース・トーマス「ダリア・ミッチェル博士の発見と異変」表紙につられて買ったけど、最近のエスエフにしては読後感が良かった。選ばれるものに適性があるのはそらそうだ。藤澤清造根津権現裏」と「藤澤清造短篇集」どちらも陰鬱な本編より西村賢太のあとがきのが読み応えあった。開高健「渚から来るもの」「食卓は笑う」「白いページ」いずれ問題なく面白かった。年配の人に開高健の話をふってみると人種を選ばず大概みんな知ってるのは流石。小松左京エスパイ」とにかく挿絵もハナシもアナクロすぎる。映画のがひゃくまいばいモダンでいい。ブルガーコフ「悪魔物語・運命の卵」怪光線を照射された卵からびっくり巨大生物が誕生する、かのゴーリキィが絶賛したらしい怪奇譚。ほんまか?ちなみにこの本、初めて訪ねた梅田のジュンク堂で買ったけど、ふだん古本屋でしか見ないような岩波のラインナップがズラリと揃っててビックリした。そのあとわざわざ来店のお礼メールが来て二度ビックリ。鈴木道彦「プルーストを読む」とても気になるけど絶対読みたくない「失われた時を求めて」の訳者によるプルースト愛に溢れた解説本。うっかり失われた~を読みそうになるほど知的で意義のある一冊。友人の借り物だけど自分でも一冊買っておこう。カポーティ「叶えられた祈り」奇しくも現代版「失われた時を求めて」のふれこみの一冊。タレント業に精を出し過ぎて作家生命の尽きかけたカポーティのとりとめない筆致にうんざりしながら読み進んでいくと、ガルビオンの最終回みたくいきなり終わってどないやねんと。この消化不良を解消すべく同じくカポーティの(なぜかどこの本屋でも売ってる)「冷血」を読書中。あとほかにもなんか読んだけど忘れたのはその程度の本と言うことで。