伊藤整「変容」老年と人生の真理を描く。寡聞にてチャタレイ夫人の翻訳で問題なったことしか知らなかった作家。初めて著作を手にしたけど面白かった。この歳になってみるとことさらに。ホフマン「黄金の壺」主人公アンゼルムスのついてないっぷりが漫画みたいなドイツの童話。半端でない魔女の悪役っぷりに終始イライラする。開高健「開口閉口」エッセイ集。筆致にユーモアはもとより視点が素晴らしい。就中ヒトラーについての一編が最高。山口瞳「冬の公園」こちらも週刊誌連載のエッセイ集。山口派には悪いけど先の開高健に比べると格段に落ちるのはなぜか。佐藤真登「処刑少女の生きる道」タイトルからガンスリンガー・ガールみたいな内容かと思って手にした私がウルトラにバカでした。辻邦生サラマンカの手帖から」表題作はじめ、活写される西欧諸国に奇妙なノスタルジアを覚える短編集。所収の「洪水の終わり」のラストは衝撃的。同「夏の砦」翻って日本文学らしい陰鬱な内容。あとがきによれば男流作家の描く女性的感性の極致のひとつらしいけど自分にはよくワカランかった。斎藤孝「孤独のチカラ」もらいもの。自分には特に目新しいことはなかった。一條次郎「レプリカたちの夜」この俺の素晴らしいハナシがワカランのは読んでるお前のアタマが悪いのが悪いみたいな、もうええっちゅーねんみたいな。山川方夫「夏の葬列」どこかエスエフっぽい短篇集でいずれも面白かったけど、やはり表題作が圧倒的で思わず三回も読み返してしまった。チャック・パラニュークファイト・クラブ」読後に観比べてみたけど映画のがひゃくまんばい面白い。きっぱり。

 

ついでに漫画、いまさらだけど荒木飛呂彦岸辺露伴ルーブルへ行く」。妖怪百物語で攻めるらしい岸辺露伴シリーズの内容は兎も角、絵はスティール・ボール・ランの終盤の頃の、荒木史上いちばん美しい筆致でとても見応えがある。ちなみに自分もルーブルに行ったことがあるけど、定休日で入れなかったのは心から呆れた。こんな世界的な施設、フツー年中無休ではないのか?アホなのかフランス人?

立て!アクション!ファイト!

オタク終活は相棒に借りてたのすっかり忘れてて急遽繰り上がりの「ジムボタン」全26話。テレビ大阪の再放送で観て以来だから30年以上ぶり。エイケンらしい小林勝利の可愛いキャラクターが魔人ドリンガーの配下にいきなり石にされたり鳩にされたりのハードな導入部から、母が囚われる北の国を目指すジムの行く先々での過酷な試練はキャシャーンみたいで(ついでに魔人ドリンガーはブライキングボスそっくり)子供心にショックだったけど、いま観るといささかワンパターンな気がしないでもない。当時は「冒険コロボックル」がダメだったぶんも人気番組だったと思うけど、例の腸ねん転で2クールで終わったのはむしろ良かったのかも知れない。ちなみに演出や作画よりは文芸が肝で、メインの辻真先より城山昇が記憶に残るハナシを書いている。

 

やたら高い平凡社文庫「チェコSF短編集」読了。きっぱりオーウェルの「1981年」のひゃくまんばい好みの「再教育された人々(1931)」から「オオカミ男(1973)」までは粒が揃って面白かったけど、80年代に入った途端に何を言いたいのかすら分からないのばかりでうんざりする。なんで80年代以降のSF(あと80年代のロボットアニメも)は邦洋問わず「この俺の名作が分からないお前のアタマが悪いのが悪い!」みたいなのばっかりなのか。アホなのか。

 

 

 

元気です、ありがとう、どうぞ

東映チャンネル「ラグビー野郎」。千葉次郎主演で気になって録画したものの、見るからに面白くないオープニングタイトルにずっとほったらかしてた映画。その予感は見事に当たって全然まったく面白くなかったけど、大友勝利以来すっかりガラが悪くなった千葉真一の運ちゃんが千葉次郎のピンチをトラック野郎よろしく助けるところが面白かったので、まあよし。1976年。

 

ムービープラス「国境は燃えている」。第二次大戦下、イタリア制圧下のギリシャ慰安婦イタリア軍中尉のロードムービー。難易度の高い映画ばっかり撮るゴダールの嫁はんのおかげさま、主演?のアンナ・カリーナはあんまり馴染みがなかったけど、素晴らしく格調高い映画できっぱり大傑作。初登場シーンが実にカッコいい12人の慰安婦が揃いも揃ってべっぴん揃いで出番の配分も良く、モノクロ映画なのに画面の華やかさが半端でないのも素晴らしい。そんな彼女らに同行する中尉も少佐も男前で好感度が高い。こんな凄い映画が近年までソフト化されてなかったらしくて、「血とバラ」や「黄金の眼」なんかともまったくどうかしてる。1965年。監督のズルリーニはあの「タタール人の砂漠」も撮ってらしくて、こっちも放送お願いしたい。

時間ですよ

前シリーズから毎回凄いゾンビランド・サガでも就中、リベンジの第4話は飯も歌なんもかんも素晴らしかった。どれくらい素晴らしかった言うと延々こうたやめた音頭を踊ってた純子ちゃんのフィギュアをついに買ってしまったついでにCD目当てでブルーレイを予約してしまうくらい。やっぱり純子ちゃんの声優さん最高。実際、いまも昔も声優の歌で感動したのはまゆしーとこの人くらい。ひそねとまそたんではなぜか空気だったけど、これからも頑張っていただきたい。

 

そう言えば前回の屋根でギターのシーンから、純子ちゃんはもしかしてひょっとして天地真理ポジションだったのかしらと。

自分はいま、地質学の研究をしておるんです!

日本映画専門チャンネル「恋愛ズバリ講座」と「憲兵と幽霊」。初めて観る前者は三部構成のオムニバスで、石井輝男で正攻法の「好色」を押さえて三輪彰で終始、冗談みたいな「吝嗇」が面白かった。ちなみに石川義寛で文太兄いの「弱気」がいちばん凡作だったけど、もとよりエリートの文太兄いのキャラに似合った会社員と、ダスティ・ホフマンの「卒業」を6年も先取りしてるラストシーンは白眉だと思う。1961年。そして久しぶり観る後者は中川信夫が翌年撮るウルトラな大傑作「東海道四谷怪談」のパイロットみたいな映画で、そう考えると脈絡なく蛇や幽霊を登場させた大蔵貢の意向はウルトラに大正解だったと思う。1958年。

サムライ

日本映画専門チャンネル「怒号する巨弾」。高校生時分、富士の裾野で天知茂宇津井健が一騎打ち!と聞いてずっと観たかったのを、30年前に伊丹グリーンのオールナイトで観て感激して以来の映画。改めて観てもフィルム・ノワールを共通項に、天知茂がまんまアラン・ドロンを彷彿とさせるついでに宙明の音楽もニーノ・ロータっぽくて最高にカッコいい。でも三ツ矢歌子はやっぱり同じ新東宝の「裸女と殺人迷路(丹波があっさり射殺されるやつ)」のが圧倒的に可愛いと思うので、こちらもいつか放送お願いしたい。1960年。上坂すみれの解説はどうでもいい。

 

先日の劇場版BEM、劇場版このすばに続いて、来月は劇場版少女歌劇も放送されるATXはこれだから解約し難い。