大群獣ネズラ
スターチャンネル「ウィラード」。孤独な青年ウィラードが友達になったネズミを操って対立者に復讐を果たし、やがては自滅するハナシ。ネズミの大群が人間を襲うビジュアルから動物パニック映画のハシリと思われてるけど、ネズミより遥かにグロテスクな人間模様と、アンチ・ヒーローとアンチ・ハッピーエンドの構図はむしろアメリカン・ニューシネマのテイストに近い。さらに知能が進んだ黒ネズミのベンが創造主ウィラードに牙をむく展開はポリティカル・エスエフ的(地球爆破作戦!)ですらある。これに加えてスタッフらの熱意と創意と根気が果たしたネズミらの演技には驚かされるばかりで、単なる色物映画でかたずけてはもったいない佳作に仕上がっている。1971年。路線変更してネズミと少年の友情を描いて唖然とする続編「ベン」は観なかったことにする。