蛇の女王
シネフィル「千夜一夜物語」。人生三回目の鑑賞。面白い面白くない以前の問題で、なんべん観ても主人公アルディンにまったく感情移入できないのが凄い。ビジュアル面でやなせたかしのキャラクターは悪くないけど、手塚御大の描く蛇の美人島や、魔人の嫁はんが化身する牝獣がなんたっていい。とは言えアニメラマではクレオパトラの面白さに到底かなわず、哀しみのベラドンナはさらに別格。どうでもいいけどベラドンナの原画って全然残ってないのかしら。1969年。
周囲の持ち上げとラッキーだけでとんとん拍子に出世する今どきの異世界ものの嚆矢のような千と千尋なんぞを評価する連中が、自助努力のすえ本懐を遂げる鬼滅の刃を蛇蝎のように嫌うのは、まあ当然ではあるまいかと。と言うかいちばんマシなラピュタですら盛り込み過ぎてうんざりする、ついでにナウシカはユパさまが飛んでくるシーン以外まったく記憶に残らない宮さんのアニメで掛け値なしに面白いのってなんかある?
地獄で飲もうぜ、アミーゴ
オタク終活「エルカザド」全26話。13年経って観るとひょっとしてもしかしてと期待したけど、相変わらずマントのナディ以外、全然まったく観るところのないアニメだった。しかし給仕だったナディがなぜあれほど腕利きのガンスリンガーになり得たのか、連邦軍がXネブラ対応型のコンバットアーマーを揃えてなお無双だったダグラムと同じくらい謎。
NECO「軍旗はためく下に」。翌年に仁義なき戦いを控えた深作監督がなんかのついでに撮ったみたいな反戦映画。圧倒的だった原作の五編を一編にまとめてかえって散漫な印象。翌年にZAT副隊長を務める三谷昇ファン(いるなら)必見。あと三重街恒二が相変わらず目立っててよし。ちなみに主役は丹波哲郎。1972年。
努力と根性
NECO「犬神の悪霊」。いきなりやってたんでビックリした。邦画で裏五指に入る「女囚さそり・第41雑居房」の伊藤俊也監督がホラーを口実に相変わらず脈絡なく知的に、そしてダイナミックに撮ってる快作。出演者全員、必要以上に頑張ってたけど、特に子役の長谷川真砂美のラストの立ち回り(なんでこの手の映画のラストはアクションになるのかとは思うけど)と、三重町恒二の祈祷師、そして珍しく常識人の室田日出男の犬神憑きの儀式は必見ではないかと思う。恐怖譚の本懐が犬神そのものでなかったのもいい。コーマンみたいなラストも最高。しかし例えば「ダンス・ウィズ・ウルブス」なんか動物は本当に殺してません!とわざわざ断ってるところ、この映画はむしろ犬の断頭シーンは本物を使ってます!とコマーシャルしてるのが東映で時代やなあと。だから長年、この映画は日の目を見なかったのだと。1977年。
テレビシリーズを一応全部観た鬼滅の刃がいささか過大評価なのは異論のないところではあるが、例えばお子らの間でワンピースが流行るよりは鬼滅の刃が流行るほうが絶対に良いのは言うまでもなく、と言うかワンピースなんか見てたらまあ間違いなくアホになる。
シルバー仮面セブン
オタク終活「アイアンキング」全26話。途中で最終回がないことに気がついて、あわやテレビ埼玉状態だったところに相棒から名古屋のあれを急ぎ補填してもらって無事に完結。当時、カッコ悪い方が変身して、カッコいい方が敵を倒す展開が難しいなおい!と思いながらも結構楽しく見てた覚えがあるけど、いま観るときっぱり死ぬほどキツかった。石橋正次のファンの女性以外でこの番組が好きな人ってどうかしてると言うくらい。画面もハナシもあまりと言えばあまりに代わり映えしない展開に、わずか2クールで敵が三回も変わるのもどないやねんと。あえてエンディングが懐かしいのと、ウエットスーツVSウエットスーツの不知火ロボット軍団のプレミアム感が観るべきところかしら。あとアイアンキングはシルバー仮面より断然、カッコいいと思う。しかしシルバーも新マンもアイアンキングも、いつも完走できない池谷仙克ってプロとしていかがなものかと。
ハインライン「夏への扉」読了。どこぞでこの小説がドラえもんの原典だかなんだか書いてるのを見て、えっ、そうだったんですか、そら気がつかなかったなぁとわざわざ買って35年ぶりくらいに読んでみたけど、どこがやねん。タイムマシンで猫だからか?だとしたらアタマ大丈夫か?あえて藤子っぽいのは少女とおっさんが結婚の約束をするロリコン好きのするパートくらいではないか?ついでにハインラインなら「宇宙の戦士」のが絶対ですよ?