宇宙竜騎兵銃

東映チャンネルの「銀河鉄道999エターナルファンタジー」。星矢の天界編・序章と同じくらいあからさまな打ち切りはいかがなものか。お前はギャング忠臣蔵か。でもまあ暗澹に過ぎるハナシは兎も角、絵が良かったのとクレアが出たのとコスモドラグーンを撃ちまくるシーンがあったので許す。鉄郎が走るシーンが劇場版999の金田が描いたシーンそっくりだったのはオマージュかしらん。あと山ちゃんのハーロックって池田秀一のそれ以上にプレミア感がなくてびっくり。

 

ところでコスモドラグーンは劇場版のとき、ぬえの宮武さんがブラッシュアップしたのが公式になってると思うけど、商品化のたび松本零士監修!になってる不思議。そこは宮武先生監修!が正解。

巨大な敵をー

いまさらBS12のガンダムオリジンを観てたけど、何と言うか、宇宙規模が町内レベルの矮小さで、微に入り細に穿ったディティールで視聴者の想像力をいちいち損なうのはいかがなものか。オリジナルに比べてもやたら殺伐とした展開と、絵もトニーたけざきの描いたギャグアニメみたいでひたすら萎える。石森章太郎もそうだけど、みんなカッコいい昔のより晩年のやっさんの絵が好きなのが意味不明。あるいは新旧で区別がつかないのか。とりあえず自分はコロニー落とし(笑)で落下するコロニーをザクが見送るアバンのシーンがなかったんでそこで観るのやめ。つかザクの攻撃で落下するんとちゃうかったんかい!と言うワケでまったくどうかしてる。

あっ!ジャッキーカード!

オタク終活「戦え!マイティジャック」全26話。かい摘んでは見てるけど一気通貫は初めてかも知れない。藤川大先生の導入部が酷すぎて敬遠してる諸賢も多いのではないか。その実、土屋啓之介をメイン監督にナポレオン・ソロを臆面なく意識した前半のスパイ・アクション編も、MJの宿痾から離れた怪獣怪人シリーズも実は観ないと損なくらい面白い。あえてダメだったのは例によって藤川桂介の担当回(グリーンモンスまんまのミイラ怪人が結構観れるのは当たり前だ)とシャプレー転じてドロン星人くらいではないか。低予算ながらトクサツも合成とミニチュアとも過不足ない感じだけど、ボンクラ怪獣洋画お得意の実物のワニを怪獣に見立てるトリックを円谷プロがやってるとは思わなかった。そしてサソリ男の渚健二がきっと好きになる最終回は何べん観ても感無量の傑作。ほかの担当回も粒が揃った金城脚本は、皮肉にも「戦え!マイティジャック」が氏のベストワークではないかと思う。しかし巨額を投じて大人向けを標榜する無印マイティジャックより、子供向けに転じた戦え!のがアングラでオシャレで間違いなく面白いのは問題ではないのかしらん。それこそ土屋監督や石黒助監督の独壇場だったピープロ諸作品の例を待つまでもなく、やはりトクサツは予算よりアイデアと言うことか。メダルマンこと二瓶正也もいつになくオシャレでカッコいい。

アントニオ

ちょうど嫁はんと晩飯を食べる時間&あまりの出来ばえに目が離せなくて全部観てしまったオトナプリキュア。反論できない環境問題を縦糸に、矮小にもほどがある世界観に偽善と欺瞞が横溢する恐るべき展開。就中、ジャリ番だから致し方ないオリジナルの鬱陶しさを払底するどころか、むしろ強化している点はスタッフの正気を疑う。作画も毎回アニメーション学院の習作のよう。中嶋敦子が最終回の数カットだけ「薬屋のひとりごと」で習得したまつ毛の描き方で手を入れてたけど、そらクレジットが恥でしかないオトナプリキュアなんかより「薬屋のひとりごと」のが面白いしええもんなあ。結句、これを本気で面白いと思ってる人は病院行ったほうがいい。タイトルも「オトナナメテンノカプリキュア」にしたほうがいい(と言うかカタカナ表記がすでに視聴者なめすぎ)。成田良美さんもやる気がないなら断ったら良かったのに。

 

あとスプラッシュスターが恋愛枠だったのは不人気シリーズだから致し方ないとして、ふたりのお相手が咲ちゃんの留学シーンですらワンカットも登場しないのはどういう了見なのか。と言うか咲ちゃんの相手は和也さん以外あり得ないのではないのか。作った連中、スプラッシュスターを観たことがあるのか?

 

成田さんと言えば東映チャンネルの「明日のナージャ」を初見して、その完成度に度肝を抜かれる。慣例、小清水亜美の流れで駄作のそしりを受ける理由がさっぱり分からない。男前が揃って番組が恋愛譚だからかしらん。子供番組にしては背伸びしてる感があるものの、文芸も競作で切磋琢磨して、作画も演出も悪くない。きっぱり知る限りどのプリキュアよりも面白い。マーチャンは置いといて、もっと評価されてもいいのではないか。

パイロットドロン44歳

ムービープラスの「大空港」「エアポート75」「エアポート77」「エアポート80」を懐かしさから一気観したら例によってヘロヘロになった。アメリカ男優ではイチ押しのランカスターの「大空港」は人気シリーズの礎になる貫禄の出来で、子供の時分で観たときより色々分かってなお面白かった。 続く「エアポート75」はオメガマン・ヘストンが主人公でもヒロインのカレン・ブラックのが印象に残ってるのも往時テレビで観たまま。これも記憶する以上に面白かった。 そして「エアポート77」は当時のコマーシャルとか映画館の看板にポスターとか、いちばん記憶に鮮やかに残りながら、前2作に比べてジャック・レモンが地味すぎるのと、レギュラーのジョージ・ケネディカタルシス不在で、シリーズでもきっぱりいちばんダメ。ダメなついでに「バミューダからの脱出」なる品のない副題も観る気が俄然削がれる。そして最終作の「エアポート80」はコンコルドを狙う誘導ミサイルに戦闘機と、色々とマンガっぽくて見飽きないうえ、カッコいいパイロット・ドロンが超カッコいいコンコルドを宙返りさせるだけですべて許せてしまう。ついにパイロットに昇格したジョージ・ケネディの語り口も最高、ファイヤーフォックスを先取りした合成にアルプスに不時着するコンコルドのミニチュアワークも最高、世評は知らんが結構言うことなし。そしてトクサツ映画としても完成度の高いシリーズ4作に共通する大作主義は、一面、映画のあるべき姿でないかと思う。

5月、存在した。記すべきことなし

モーパッサン「脂肪の塊」古いのに面白かった。リチャード・ライト「ブラック・ボーイ上下」上巻前半微妙、以降は俄然面白くなった。カートヴォネガットジュニア「タイタンの妖女」スカだった。エスエフはダメだ。サミュエル・ペケット「ゴドーを待ちながら」なんかよくワカランかった。ニーチェ「ツァトゥストラはこう言った上下」さらによくワカランかった。ジェームズ・クネン「いちご白書」映画と全然違ってた。あと暇があったら開高健のエッセイを繰り返し繰り返し玩味する日々。

日本の男の艦じゃ!

カポーティ「ここから世界が始まる」。初期短篇集。基本に倣った諸作品で実に読後感がいい。同「草の竪琴」なんか懐かしい筆致でこれも読後感がいい。

ライオネル・ホワイト気狂いピエロ」びっくり面白かった。なんでこれを原作にしてあの意味不明にもほとがある映画になるのか。そらベルモントゴダールと袂を別つわみたいな。

吉村昭戦艦武蔵」武蔵建造と沈没までの秘話。あとがきにもあった吉田満の「戦艦大和の最後」に比べて淡々としたドキュメンタリーで面白かったけど感慨はない。とりあえず海軍上層部の一部しか大和と武蔵の艦名を知り得なかった史実から、いかにもカッコいい「宇宙戦艦ヤマト」の永井一郎声の釣り船の爺さんのセリフが真っ赤なフィクションだったことは分かった。

ニーチェ悲劇の誕生ニーチェのデビュー作。最初から最後までさっぱりワカランかったけどなんか勢いだけで読めてしまって、しかも面白かった気がする、岡本太郎とかが絶賛してる時点でそういった本。いまは「ツァラトゥストラはこう言った」を通読中。当然みたいにさっぱり分からない。

いまも昔も仮面ライダーのファンはアホばっかりでなによりだ。